グレイヘアという選択
40代くらいになると誰でも気になるのが白髪です。
様々な髪色がある欧米の女性と比較しても日本人の白髪は目立つものですし、
年齢とともに増えていきます。
ちょっと気を抜けば、髪の根本が目立ち始め、髪が痛むとわかっていても染め続けなくてはならない。
髪にもお財布にも精神にも優しくないこの白髪問題。
男性なら「ロマンスグレー」という素敵な言葉があるのになぜ女性は「白髪は隠すもの」として後ろ向きに考えなければならないのでしょうか?
「グレイヘアという選択」という本が評判になり、ファッション雑誌などでも特集が組まれるなど、今やトレンドとなっている「グレイヘア」。
流行語大賞の候補にもなり、多くの人に認知されるようになってきました。
そして近藤サトさんなど、グレイヘアの著名人があこがれの存在に。
今、あえて白髪を染めず、ありのままのグレイヘアを生かす女性が増えているというのです。
グレイヘアの名付け親ともいわれる主婦の友編集者依田邦代さん(59)のインタビューを見ました。
自身もグレイヘアの美しい女性です。
「男性ですと白髪の男の人を『ロマンスグレー』と呼んだりして素敵な呼び方がありますけれど、女性の場合今までなかったので素敵な白髪を『グレイヘア』と呼んでいます。」
今まで白髪は「老けて見える」「みっともない」など否定的なイメージでしたが依田さんは、中高年女性のファッションの取材の際におしゃれな女性に白髪の方が多いことに気づき、(白髪=魅力的な中高年女性が多い)女性の新たな魅力としてグレイヘアに注目したと言います。
「美の基準は時代と主に変わってくと思うのですけれど、髪の毛が白くてもそれをファッションの一部として楽しめるようなありのままというかナチュラルな状態でそれで素敵でいられるのであれば、そっちの方が女性だったらいいと思いますよね」
とはいっても白髪染めをやめ、グレイヘアにするには勇気がいるという人も。
ではグレイヘアにした女性たちはどんな思いでグレイヘアにしたのでしょうか?
そしてどう自分を輝かせているのでしょうか?
近藤サトさんのグレイヘア
トレンドを牽引する女性、フリーアナウンサーの近藤サトさん(50)。
「髪の毛が白いことを悟られてはならないとかね、そこから解放されたいと思って(髪の毛を染めることを)やめました。」
近藤さんが白髪に悩まされたのは20代のころからだと言います。
「早いなと思ったし、隠さなきゃなと思ったんですけど。
当然な成り行きだったんですよね。
白髪が生えてきたら染めるべしみたいなのが。」
フリーアナウンサーとして活動し始めた30代。
当時は3週間おきに白髪を染めるという生活を繰り返してきたと言います。
そんな中、白髪染めをやめる決断をしたのは意外にも2011年東日本大震災でした。
「防災グッズを集めていてその中に災害時にでも染められるようにストックしておこう、自宅の白髪染めを。
と思ったときにこれはすごい呪縛だと思ったんです。
自分に対するね、呪いだと思ったんですよ。
こんなことを災害時にしている場合ではないし、
そもそも自分のその考え方おかしいと思ったんですね。」
白髪に対するコンプレックスと向き合った近藤さんは、いっそ白髪染めを完全に卒業することを決意しました。
「私は60歳になった時に『いつまでも変わらないわよね』と言われたいんじゃなくて『いい風に年を取ったね』って言われたいと思ったんです。
その時のために私は白髪染めはもう必要ないと思ったから、今やめようと思ったんです。」
あるがままの姿でいることを選択した近藤さん。
すると気持ちにも変化が生じたのです。
「本当の意味でおばさんを受け入れたというのですごく気持ちがよくなりましたよ。
ないものを嘆くよりもあるものを活かそうと
なので私はグレイヘアが気に入っています。」
私たちにとってのグレイヘアとは?
さて、どうでしょうか?
共感しつつも勇気がないという人が多いのではないでしょうか?
美しいグレイヘアの女性に対するあこがれもあります。
その選択は生き方として素晴らしいと思います。
また、現実に髪を染め続けることに疲れたり、
地肌が弱い、体質的に合わないなどの問題から、毛染めが困難な人もいるでしょう。
でもあえてグレイヘアを選択するというのは
おしゃれのハードルとしては非常に高いのではないでしょうか?
白髪を見せることはやはりどうしても年齢的には高く見られるのは事実です。
今まで来ていた洋服などが似合わなくなる場合もあるでしょう。
美しく見せるためには服装も今まで以上に考えなければならないように思えます。
髪の毛の手入れは今まで以上に重要になるのではないでしょうか。
グレイヘアにするのであればやはりゴージャスな髪の毛でありたいなんて思ってしまいますね?
また、白髪の生え方はいくつかパターンがあり、思い通りのグレイヘアになるかどうかはトライしてみないとわからないとのこと。
特に伸ばしかけの状態の手入れは難しく、美しいグレイヘアになるためには、時間と根気が必要なのが現実です。
ただ白髪を伸ばしっぱなしなら楽なんですけれどね!
かくいう私もグレイヘアに対するあこがれや羨望は密かに持ちつつ、髪の毛は染め続けるんだろうなと思っています。
ただ、女性にとって選択肢が増えることは望ましいことなのではないのでしょうか?
「グレイヘア」を選択することは、ある意味アイデンティティというか、生き方の選択でもあり、それが「美」の一つの形として認められるのは素晴らしいことですね。