お盆の風習、~盂蘭盆会 精霊馬、精霊牛
お盆は先祖の霊をお家にお迎えして供養し、送り出す行事です。
8月13~16日の期間ですね。
一部地域では旧暦と同じ日付の7月13~16日や、旧暦を新暦に直した日付で行う場合もあります。
お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」「精霊会(しょうろうえ)」と言います。
盂蘭盆の盂蘭(うら)とは逆さづりにされたような苦しみのこと。
この言葉はサンスクリット語の「ウランバナ」の音訳「盂蘭盆会(うらぼんえ)から来ています。
お釈迦様の弟子木蓮が、「地獄に落ちた母親を救うにはどうしたら救えますか?」とお釈迦様に尋ねたところ「7月15日に供養(自恣供養会)をするようにと教えられて供養を行ったことに由来すると言われています。
お盆、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は仏教の風習だったのですね。
この風習が日本に伝わり、日本古来の祖霊祭と融合して、民間に普及してお盆の風習となったのです。
盂蘭盆会(うらぼんえ)実施の記述は日本では大変古くからあり、7世紀、飛鳥時代にさかのぼります。
風習が庶民に広まったのは江戸時代頃と言われています。
お盆には、仏壇や精霊棚にお供えをして提灯を飾ったり、迎え火、送り火をします。
そして、仏壇の前や縁側ににしつらえた盆棚にご先祖様の霊をお迎えします。
盆棚には旬の果物、野菜、牡丹餅、花、精霊馬・精霊牛(きゅうり馬、ナス牛)などを供えます。
近年では家族環境や住環境の変化から簡略化する家も多くなりました。
自宅に仏壇などがなくても故人の好きだった花や食べ物などを棚に飾るだけでも良いでしょう。
かしこまらなくても簡単なお供え物をするだけでも良いのです。
精霊馬・精霊牛、すなわちきゅうり馬、ナス牛などを作ってお供えしてもよいですね。
これは、きゅうりとなすにおがらで足を付けたもので、馬と牛に見立てています。
ご先祖様が来るときは馬に乗って少しでも早く来てほしい、帰るときは牛に乗って少しでもゆっくり帰ってほしいとの気持ちが込められています。
足は割りばしや、楊枝でも構いません。
早そうなしゅっとしたきゅうりや肉厚でちょっとまがった動物っぽいナスを探すところからですね。
子供でも簡単に作れて楽しいです。
お盆の送り火と迎え火
先祖の霊を迎えるための迎え火とお帰りの時の送り火は、お盆の始まりと終わりともいえる行事です。
迎え火は7月もしくは8月13日の夕方に行うのが一般的。
(12日に行う場合もあります)
軒先につるした盆提灯に灯を灯し、家の門口か戸口に焙烙という土器を置いて、その上で折ったおがらを燃やします。
ご先祖様はその煙を目印にして、迷わずに家に帰ってくると言われています。
きゅうり馬、ナス牛の足にも使った「おがら」とは、「あさがら」ともいって。麻の皮を剥いだ茎のことです。
スーパーやホームセンター、花屋さんなどで入手できます。
麻は古来清浄な植物とされ、悪いものを祓い清め、燃やすことで清浄な空間を作るという意味があるのです。
送り火はお盆の最後の日にご先祖様の霊を送り出すために焚きます。
迎え火と同じようにおがらを燃やし、ご先祖様がその煙に乗ってあの世に帰れるようにします。
京都では16日の夜に「大文字焼き」をしますが、これは正式には「大文字五山送り火」といい、送り火の意味があるのです。
京都の街を囲む5山に「大文字(大)」「鳥居型(⛩)」「舟形」「妙法の文字(妙)(法)」の5つの大きな文字を灯して、盛大な送り火をします。
また、精霊流しも故人の魂を送る送り火の一つと言えます。
精霊流しはお盆の最後の日の夕刻に盆棚の飾り物や供物や灯籠を舟形に入れて流す儀礼です。
規模などは地域によって様々ですが、近年は環境保護の観点から、供物などを流すのが困難になっている地域もあるようです。
送り火、迎え火は、本来は焙烙(焙烙)という素焼きの皿を使いますが、耐熱の平皿を使うこともあり、またおがらの代わりにろうそくなどを使う場合もあります。
マンションなどでは火を使うことができない場合は電池式のちょうちんなどをベランダや窓辺において、苧殻(おがら)の代わりにしてもよいでしょう。
要はご先祖様や故人をおもてなしし、大切にする気持ちが大切なのです。
お盆のお墓参りはいつ行けばよいか
お墓参りというのは一年中いつ行ってもよいのですが、お盆だからお墓参りという意識はありますよね?
帰省に合わせてお墓参りに行こうと考えている方も多いかもしれません。
でも、本来お盆はご先祖様の魂が返ってくる日だからお墓にはいらっしゃらないのでは?という疑問もわきます。
お盆期間は4日間ありますが、お墓参りはいつ行くのが良いのでしょうか?
13日はお盆の初日です。
つまりご先祖様の魂がお家に帰ってくる日。
一般的にはお迎えの意味を込めてこの日にお墓参りをするのが良いと言われています。
そしてお迎えの準備として、お墓の掃除はできれば12日か13日の午前中までにした方が良いとされています。
では14日になってしまったらどうでしょうか?
関東地方などでは、「留守参り」といって、留守の間にお墓を守ってくださる仏様に感謝するという意味でお墓参りをする風習があります。14日15日にお墓参りをするのです。
でもどうしても13日に行けない場合は「遅れてごめんなさい」とご先祖様に謝りつつお参りをされてももよいようです。
また16日はご先祖様がお帰りになる日なので、お見送りの意味を込めてこの日にお参りするのもよいでしょう。
故人をしのび、語らう気持ちが第一義で、家庭ごとにできる限りのことをすればよいと思います。